売れる小説はココが違う! 百田尚樹の小説家講座

〜 小説家として生き残るための3つのポイント 〜

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林先生の今やる!ハイスクール2013年12月13日放送分
『百田流!ベストセラーの作り方講座』
ゲスト講師:百田尚樹 「売れないと意味ない」
ゲスト学友:伊集院光 「初版は4000部がやっと」

1時間番組なので、かなり大雑把な小説家講座でした。
しかし、だからこそ一番大事なことのみをエッセンスとして抽出してあったともいえます。

番組が用意したポイントはこの3つ

◆1_出版業界の裏側を知ろう
◆2_百田流! 一行目の書き方
◆3_取材力をつけよう

では、いってみましょう。



◆1_出版業界の裏側を知ろう

■小説家は、本を出してから生き残るのが一番大変
・生存率1%以下
・生き残る=次の本を出版できる
・売れないと次の本が出せない
・次の本が出せるかのボーダーラインは発行部数の7割を売ったかどうか


■実は書店に並ばない本の方が多い
・出版社 → 取次会社 → 書店 
・2つのハードルをクリアして初めて店頭に並ぶのです。


■ベストセラーを出すための基礎知識
・1日に発売される新刊は200冊(年間7万冊)
・売れない本は1日で書店の平置きから撤去される
・本の値段は初版部数で決まる
・印税は定価の10%



百田氏は返本させないために、書店めぐりをして自分の本にサインを書きまくったのだとか。
※サイン本は返品不可なのだそうです。




◆3_取材力をつけよう

■作品にいかにリアリティをつけるか
・取材をしっかりして現実的な話をする。読者に違和感を感じさせない。
・情報量を増やし読者を納得させる。知的好奇心を刺激する。


コレがないと読者は読んでくれない
怠けずにリアリティを追求しよう



百田氏は1冊本を書くのに
200〜300冊は必ず関連する本を読むのだとか


ちなみに
永遠のゼロの時は
第二次世界大戦がテーマだったので
大戦時のいろんな記録・戦記を
500冊ほど読んだ。とのこと

当時の衣食住、価値観、風景、そして空気感に至るまで確固たる世界観を作り上げるということでしょうか


ちなみに―――
本が売れると……
出版社が取材の段取りをとってくれるようになるので、取材が断然しやすくなるそうな




◆2_百田流! 一行目の書き方



私が一番興味をもったテーマはここ。
でも、番組内で一番時間が割かれなかったテーマである
企業秘密だから、百田氏も出し渋ったのかな?
とりあえず気を取り直して

小説は最初の一行目(冒頭)が勝負!
興味を引けなかったらアウト
冒頭が面白く無いと興味を持ってもらえない、
手にとってもらえない・・・即ち、買ってもらえない


実例

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

『 永遠のゼロ 』の場合
あらすじ
「家族に会うまで死なない」と誓ったゼロ戦パイロット
しかし最後は自ら特攻に志願し…


冒頭
あれはたしか終戦直前だった。
正確な日付は覚えていない。
しかし、あのゼロだけは忘れない。
悪魔のようなゼロだった。


百田氏曰く
生き残った米軍兵士側からゼロ戦を語ることにより
インパクトをつけたかった。


影法師 (講談社文庫)

影法師 (講談社文庫)

『 影法師 』の場合
物語概要
舞台は江戸時代
身分の差を越えた友情物語


冒頭
「磯貝彦四郎殿は亡くなっておられました」


百田氏曰く
主人公の死をいきなり書いて
インパクトを与えようと思った。


モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

『 モンスター 』の場合
あらすじ
醜い容姿に生まれたがゆえに惨めな人生をおくってきた女が
整形を繰り返して絶世の美女に
そして生まれ育った町に戻り、復讐を遂げてゆく


冒頭
女が屋根のないプラットフォームに降り立った時、
ホームで水を打っていた中年の駅長は
思わず手を止めて女を見た。


百田氏曰く
あえて女性を描写しないことで
ミステリアスな雰囲気を出そうとした


ここで番組のコーナー
冒頭を書いてみよう!


伊集院光の場合
駅員は私を見ていた
20年前もそうしていたが
意味は真逆だ
あの時はこう思っていたはず…
『醜い女め、早く私の前から消えろ』
同じ頃、同じ視線を刺してきたこの町の連中に
裁きを下すために私は帰ったのだ


林修の場合
久々のホームに
驚くほど懐かしさを感じなかった
ホームの空気は変わった、のだろうか……
駅員が自分を見ている
軽く微笑み返す
その下にうまく隠した、氷を意識した。


百田尚樹の感想
二人ともストレートにズンと入ってくる
最初から復讐のニオイがする
短い冒頭の中で全体のストーリーが見えて◎


●ここで林先生から質問
書き出しが最重要なのは分かりました、
では、ストーリー全体をどうやって作る?



もっともな疑問です。
原稿300〜600枚とか気が遠くなるような枚数です。
中だるみせず、破綻せず、途中で投げ出さずに最後まで書き上げるにはどうしたらいいのでしょう。


百田尚樹氏のアンサー
書きたいシーンだけをとにかく書いていき
最後につなぎ合わせていく



永遠のゼロを書いた時はどうしたかを引き合いに出す百田先生

書きたいシーンをとにかく書く、行き詰まったらファイル保存
別の書きたいシーンを書いて保存する
それを繰り返してたらファイルが200〜300になった
そこから編集してつなぎ合わせて一つの作品にした。



◆まとめると
百田流小説の書き方
・冒頭はインパクトをもたせる
・長編を書く時は
自分の書きたいシーンから書く
そして最後に整合性をとりながらつなぎ合わせる。




時間がなくて割愛された
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