荊の城

荊の城 [DVD]

これは、サスペンスであり、レズビアンの話であり、ハッピーエンドで終わる物語です。

孤児の掏摸スゥと富豪の令嬢モード、少女と大人の狭間にいる、この2人を中心に物語は進んでいく。
ストーリーは3部構成になっていて、1部と2部は、同じストーリーをスゥとモードそれぞれの視点で語ってゆきます。
第1部のスゥ視点で語られるストーリーの後に、第2部のモード視点で語られるストーリーを見ると、モードの心情、
 - スゥに惚れてしまったがゆえに、誤解が悪意を呼び、悪意が躊躇いを捨てさせ、そして、あやまちを犯させる -
なんて、とてもせつなかったですね。

そして第3部、今まで隠されてきた真実が次々と明らかになり、ここからはもう、一気に怒涛のクライマックスへとなだれ込んでいきます。
面白かった。


蛇足:
訳題に「荊の城」って名づけた訳者さんのネーミングセンスって、秀逸だと思います。
荊の城と聞くと、グリム童話の眠り姫を連想するのですが、
その「眠り姫」という色眼鏡で、この「荊の城」を見たとき、
何か妖しげな、背徳めいたものを感じて、ワクワクしてしまいます(笑)


原題は Fingersmith といいます。造語です。
分解すると、 Finger(指)smith(製作人)

思うに、「スリのスゥ」「秘書として書き物をしているモード」そして
「モードがしている手袋」それらをひっくるめた複合意として
「Fingersmith」という造語をつくった様な気がするのですが、
原題のままじゃあ、このDVDを手に取らなかったと思います。

だって、指で製作する人じゃあ、全然魅力を感じないもの。